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尾木ママ語る!「コロナ時代を生き抜くチカラ~多様性を生かす通信制教育~」①コロナ禍が子どもたちに与える影響

NHK学園に尾木ママがやって来た!

9月24日(金)、NHK学園東京本校に尾木ママがやってきました!尾木ママこと尾木直樹さんは教育評論家であり、法政大学名誉教授、そしてN学アドバイザーとして、教育に関する広い知見をもとにNHK学園の教育にアドバイスをいただいています。

今回は、NHK学園の生徒に向けてお話をいただく<N学特別講座>をNHK学園や通信制高校を検討する方々に特別に公開しました。来場のみならず、全国からオンラインで多くの方が参加してくださいました。

「へえ。」「なるほど!」「そうだったんだ~。」

と参加したみなさんからさまざまな反響をいただいた尾木ママのお話を皆さんにもシェアしたいと思います。


パラリンピックをきっかけに広がる多様性

みなさん、こんにちは。尾木ママです。
オリンピック・パラリンピックが開催されましたけれども、パラリンピックを観た方、手を挙げてみてください。あ、半分ぐらい、結構ご覧になってますね。
僕は、パラリンピックがあんなにすごいものだっていうことを全然知りませんでした。障害の程度も千差万別。同じ競泳の100mの中でも10種類の障害の程度で分かれていて、それぞれのところで競い合って、「アスリートってすごい。気迫と挑戦心では、オリンピックの選手とパラリンピックの選手とで遜色ないんだ。」ということに感動しながら観ていました。
閉会式もよかった。「今日はスタートだ」ってみなさんおっしゃっていました。パラリンピックで多様な障害のある方が競い合って、全力で挑戦しました。その姿を社会でどのように実現していけばいいのか、というスタート地点だということです。
NHKなどのテレビ番組では障害者自身が解説をしていました。やはり競技者自身でないとわからない解説のしかたなんですね。マラソンの増田明美さんの解説ももちろんいいのだけれども、僕がジーンと胸を打たれたのは障害を持つ方のひと言でした。
オリンピック、パラリンピックをきっかけとして、世界もそうですけれども、日本はこれから多様化の時代に入ってきている、ということを感じました。日本の歴史に大きなきっかけを作ってくれたのではないかと思います。

そして、このコロナです。
僕は、子どもたち、高校生、大学生…若者のことを本当にすごいな、と思っています。僕も校長先生も、誰もこんな時代を経験したことはないわけです。2年間も我慢を強いられている。そんな中で生き延びているわけです。だから先生方やお母様方に「子どもたちをリスペクトしなくてはだめですよ」と伝えています。

今回は、「コロナ時代を生き抜くチカラ」ってどんなチカラというお話をしていきます。通信制教育は、すでにこうした時代を先取りした態勢に入っているんです。その力をどのように発揮して社会とかかわっていくのか、という話をしたいと思います。

世界中の国々が軌道修正をしながら進んでいる

世界中がまだ迷っている。コロナの正体がはっきりつかめたわけではない。私たちはこの病気との付き合い方をまだわかっていません。全米テニス大会は、「マスク着用やワクチン接種の制限なし」から一転「ワクチン接種の義務付け」に転じました。イギリスでは、マスクなしでのサッカー観戦により8試合で6400人が感染しました。あちこちの国々が動揺して、しょっちゅう軌道修正をしながら進んでいます。イギリスの例は実は感染対策の実際についての社会実験の側面もあります。ですが、映像だけ見て判断すると、その裏にあることはわからないから、気を付けて見るようにしましょう。
子どもたちが数多く感染しているデルタ株。南米由来のミュー株も出てきました。「えらい時代」になったな、というのが率直な感想です。
でも、こういうピンチの時、尾木ママはワクワクするんです。さあ、どうやってここから脱出するか、どういった新しい生活スタイルを作るか、どういう人間関係を作るか、そんなことを考えるんです。
14世紀にはヨーロッパでペストがはやりました。その後に起こったのがルネサンス、人間復興です。音楽、美術、文学など次々と名作が生まれた時代です。ゴルフもこの時代に誕生しました。そんなふうにして、これから僕もみなさんも、いろんな工夫をして、100年後、200年後には、「あのコロナの時代を生き抜いた高校生はこんな工夫をしていたんだ」と文化として残ることになるんじゃないかな、と思うんです。

さて、そんな中で今学校はどうなっているのか、全体像として捉えていきたいと思います。

子どもたちのこころとからだの問題

国立成育医療研究センターでは、2020年4月から2か月刻みで小学4年生から高校生を対象にアンケートを実施しています。
「ストレスを抱えている」という子どもは2020年4月で75%。2021年4月で72%。アンケートの開始以来7割を切ったことはありません。
うつ病を抱えている子どもは小学生で14%、中学生で25%、高校生では30%に上ります。うつ病になると絶望感から死にたくなったり、自殺する人が出てきてしまいます。昨年の小学生から高校生の自殺者は全国で499人。前年は399人ですので、100人も増えています。大学生を含めると、1009人もいます。自傷・他傷は24%に達しています。苛立ちはみんな一緒です。
からだのことで言いますと、肥満は小学校6年生で11.1%の増加。痩身も全学年で増加しています。皆さん不思議に思うかもしれませんね。オンライン授業が続いて、家でおやつを食べる機会が増えて、太ってしまうことはわかるけれど、痩せてしまうというのはどういうことでしょうか。
お母さんが忙しくて食事を作る暇がない、などさまざまな理由でご飯を満足に食べられない子がたくさんいます。学校が休校になると給食が食べられないんです。給食で栄養を取っているという子もたくさんいます。
「子ども食堂」って聞いたことがありますか。今では地域の子どもが集まる交流の場にもなっていて、必ずしも食事を満足にできないお子さんが駆けつける場というばかりではないけれど、そういうお子さんもいるんです。調べてみたら、子ども食堂の数は全国に5086もあるんです。
先日は、所沢の焼肉屋さんが200円で提供している焼肉弁当を、お金のない子どもには出世払いで分けているという話題をテレビで見ました。今、そういう状況になっているんです。「痩せてしまう」という状況もわかりますよね。経済悪化のしわ寄せが子どもたちのからだに及んでいます。

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