尾木ママ語る!「コロナ時代を生き抜くチカラ~多様性を生かす通信制教育~」③個別学習を後押しする通信制高校のオンライン学習
9月24日に行われたNHK学園での尾木ママ講演会のお話をシェアします。
国際社会の潮流は「個別学習」
日本は一斉主義の授業が一般的ですけれども、国際社会では個別教育が常識となっています。
国語の時間の音読の得手不得手や、運動会で一斉に走って順位をつけることで教室の中で序列がついてしまう、苦手なことを他人と比較して落ち込むことになります。
日本では6歳で小学校1年生ですね。オランダは4歳、韓国は5歳で入学します。入学も、誕生月の次の月から、というようにばらばらです。そうすると、中間テストとか期末テストとかできないんですよ。頭の回転の速い子は「なるほど、なるほど」と理解してどんどん先に進みます。2倍時間のかかる子だっています。A君は1年で終えたテキストをB君は2年かけてやる、ということが大いにあっていいわけです。
日本だと、それは「留年だ」ということになって、なんだか落ちこぼれたみたいな言い方になるんですけれど、それは違います。「しっかりとマスターしていく」ということで全然おかしくないんです。
そういう話をしていたら、パックンことパトリック・ハーランさんは、「僕は幼稚園を1年留年しました」って言うんです。彼の場合は、お友だちと共同作業をするとか、そういうことがどうもうまくいかないので、もう1年卒園は待ちましょう、と言われたそうです。
これは考え方によっては、とてもありがたいことです。国や自治体が経費がかかっても、その子の成長に責任を持とうとして、そういうやり方を採用するというのですから。
個別学習なら全員が伸びる
そして、個別学習のいいところは、学力はもちろん、生活面、お友だちとの付き合い方など全員が伸びていくところです。一斉教育では、必ずこぼれてしまう子が出てくる、そうではなくて一人ひとりに合わせて進んでいこう、ということです。オランダでイエナプランの学校を見学に行きましたが、同じ教室にいても、それぞれ違うページを開いて勉強していました。
僕の専門の教育学の観点からすると、高校受験なんてやっていたら国がだめになる。高校受験があるのは世界でも、日本と中国ぐらいです。日本もだんだん劣化してきていると感じます。
通信制高校を選ぶとき気を付けてほしいこと
OECDの提言があっても、オンライン授業が行えるのはたったの30%。ICT機材を配布したけれども、内容がついていかない。その点、NHK学園ではオンライン教育が当たり前に行われて、最先端を行っています。
通信制高校は全国にたくさんあります。在校生の数は20万人と言われています。少子化の中でどんどん増えているんです。でも、通信制高校の中にはいろいろな学校があるんですよ。もちろん、一番いいな、と思うのはNHK学園ですけれども、選ぶときに気を付けてほしいと思うのは、テレビに出ているような著名な講師を次から次に連れてきて講座を開講しているようなところです。それなりには面白いだろうけれども、一方通行で、講義を聞くだけなんです。ときどきよくない教育内容でニュースの話題になるような通信制高校もあります。よく吟味して選んでほしいです。