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「学校で週5日過ごすより、夢に近づくために有効に時間を使いたい。」 ミュージカル俳優という夢を実現するために選んだ転入学。

在学中から音楽座ミュージカルに参加し、卒業後も同カンパニーで活動を続けている岡崎かのんさんはNHK学園の卒業生。ミュージカル俳優として本格的な活動を開始して1年目の岡崎さんにNHK学園高等学校広報の野村がお話をうかがいました。

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ミュージカル俳優は幼少の頃からの夢

野村:3歳からクラシックバレエを始めたとうかがいました。子どものころから歌や踊りがお好きだったのですか。
岡崎さん:はい。テーマパークで観たミュージカルのキラキラと華やかな世界に憧れて、ミュージカルの舞台に立ちたいと思いました。クラシックバレエを始めたのも、そのためです。小学校に入る前から小さな団体のミュージカルに出演するようになりました。中学生になってからは歌やクラシックバレエ以外のさまざまなダンスのレッスンを受けていました。
野村:3歳の頃からの夢を実現されているのですね!レッスンと高校生活の両立も大変でしたでしょう。
岡崎さん:最初は都立の全日制高校に入学しました。7時に家を出て16時ぐらいまで学校。その後、歌やダンスのレッスンに通って、帰宅は22時ぐらいという生活でした。
でも、私の中で、早くミュージカルに出たい、もっとレッスンに充てる時間が欲しい、アルバイトをして自立したい、という思いが日に日に強くなって、学校で週5日過ごすより、自分の夢に向けてもっと時間を使いたいと思うようになりました。

勉強のスケジュールを自分でマネージメント

野村:それでNHK学園へ転校をされたのですね。他の通信制高校も検討されましたか。
岡崎さん:いいえ、NHK学園一択でした。母が通信制高校ならNHK学園があると教えてくれて、テレビで授業を受けられるということと東京本校が自宅から通いやすかったので、高校2年生のときに転校を決めました。
野村:NHK学園に入学してみて、いかがでしたか。
岡崎さん:自分が取った科目によってスクーリングの回数が決まるので、いつ登校するかなどを自分でマネージメントができるところが「自分に向いている」とすぐに感じました。
私はネット学習コース(2021年度よりスタンダードコースに名称変更)の月曜日生(月に1~2回程度の登校日が月曜日のクラスの生徒)でした。でも、公演の日程と重なって月曜日に登校できないこともあって、そんなときには集中スクーリング(年に4日間程度連日直接指導を行う機会、東京本校では年に2回ある)に出て、出られなかった授業を受けるなど、融通が利くところもよかったです。
野村:先ほど「自立したい」とおっしゃっていましたが、アルバイトなどもされていたのですか。
岡崎さん:朝5時から10時はできるだけコンビニのアルバイトに入るようにしていました。その他にも喫茶店、スタジアムでのお客様の案内、テーマパークのキャストなどのアルバイトをしていました。歌や踊りのレッスン代は自分で出すようにしたかったのです。

アットホームで居心地がいい学校

野村:在学中の思い出はありますか。
岡崎さん:スクーリングのときに周りの人たちと話をするのが楽しかったです。NHK学園に来ている人は夢ややりたいことがある人、アルバイトがしたい人、朝が苦手な人…とそれぞれにここを選んだ意思がある。特定の仲良しの子ではなく、毎回違うクラスメイトに会って、いろいろな話をしたのが思い出に残っています。
週5日通う学校だと、必ずグループができて一人きりでいるというのは見かけません。私自身も、仲が良い友だちがいても、数日空いてしまうと友だちとの距離感に不安を覚えて自分自身の心がざわついてしまうことがありました。でも、NHK学園では、一人でいても浮くということもなく、初めて会う人とも「どうしてここに入ったの?」とざっくばらんに話せる雰囲気があるんです。
私はなかなか行事には出られなかったのですが、3年次生のときの体育祭は印象に残っています。ほとんど見ているだけだったけれど、知らない人たちとも安心していられて、地域の方も集まっていて、アットホームな雰囲気が印象的でした。
中学の時の友人にもNHK学園を勧めて、彼女も転校してきたんですよ!
その友人は、1学年下に転入学したので、彼女を通じて、下の学年の人たちとも仲良くなりました。今、彼女は高校3年生。「いい学校だ」って言っています。
あと、正面玄関に入るとどーもくんがいるのがうれしかったです。学校なのに、学校に来るのとは違う感覚でした(笑)。

どーもくんマスク

音楽座ミュージカルでの仕事

野村:音楽座ミュージカルに所属されたきっかけは何ですか。
岡崎さん:NHK学園に転校してアルバイトとレッスンに明け暮れていた時に、「早く舞台に立ちたい!」と思ってオーディションに応募したのがきっかけです。
通常、オーディションは18歳もしくは20歳以上の年齢制限があることが多いのですが、音楽座ミュージカルは16歳から受験可能だったので、まずは挑戦してみようと思って応募しました。
野村:肩書は「ミュージカル俳優/プロデューサー」ですよね。俳優以外のお仕事も取り組まれているのですか。
岡崎さん:音楽座ミュージカルはカンパニーの代表が作品の方向性や演出の方向性は決めていますが、各俳優も単に演出担当に指示された通りに演じるというのではなく、振付や表現について主体的にかかわって作品を創り上げていくという考え方を持っているんです。
また、舞台作品の制作のほかに、企業研修のプログラムを提供しているので、トレーナーとしても関わっています。
特に私たちくらいの年齢では家族や先生以外の大人の方に関わる機会というのは滅多にありませんが、この研修では、新人から課長や部長など役職を持つ方まで会社内のさまざまな立場の方、いろいろな職業の方に直接お会いすることができます。こうした経験を積むことで、役作り等においても想像の幅も広がると感じています。

コロナ禍で気がついたこと

野村:新型コロナウィルスの感染拡大の中、ミュージカル俳優としての本格的な第一歩を踏み出されたわけですが、どんな1年でしたか。
岡崎さん:当初昨年7月には終演する予定だった「SUNDAY(サンデイ)」という作品が、9月に幕を開け12月にようやく千秋楽を迎えることができました。私にとっては、音楽座ミュージカルの俳優としての初舞台でした。
公演の様子はオンライン配信もしました。カメラマンがステージの上まで上がって来て撮影した映像は、劇場で観ている以上に間近で舞台を感じてもらえる特別な映像です。私も実際に観て、生の公演以外にも、ミュージカルの魅力を伝えられる可能性を感じました。
コロナ禍だからこそ気づけたことはほかにもあります。
舞台に立ちたい、と私がイメージしていたのは目の前にお客様がいる空間です。でも、コロナウィルスによって、それが「当たり前」ではなくなりました。昨年末の舞台では、「いつが最後になるかわからない」という中で、1回1回の公演を魂でお届けするという想いで立っていました。
お客様が来てくださること、来られない方も応援してくださっていることがありがたい。いつまでこの状態が続くかわかりませんが、恐れることなく、演じることを楽しんでいきたいと思います。

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ミュージカルを通じて観る人の心に変化が与えられたら…

野村:今後はどのような予定があるのですか。
岡崎さん:サン・テグジュペリの『星の王子さま』を原作とした「リトルプリンス」を関東の中学生向けに上演します。今回はコロナ禍で文化芸術に接する機会を失ってしまった子どもたちへ文化を届けるために「次のにない手を育成する子ども向けコンテンツ制作事業」として行われる文化庁主催の公演です。
私はこの作品で「花」という役を演じます。王子さまが住んでいた星を飛び出すきっかけになる、重要な役です。
野村:制限された毎日を過ごすお子さんたちにとっては、非日常を味わういい機会になりますね。
最後に、岡崎さんの将来の夢を聞かせてください。
岡崎さん:今は、ミュージカル俳優として成長して、大きくなりたい。大好きなミュージカルを通じて、お客様に人生が少し変わるきっかけや、心に変化を与えることができたらうれしいです。
音楽座ミュージカルでは、ミュージカル以外の体験を通じて、世の中のさまざまな面を見る機会をいただいています。20年後、30年後はどうなっているか予測もつきませんが、今、この瞬間を大切に「なりたい」イメージに向かって果敢に挑戦していきたいと思います。

自分の目指す道ややりたい気持ちに忠実に、それを実現させるための方法を選びとってきた岡崎さん。これまでの舞台芸術を取り巻く環境が一変する中でも、戸惑うことなく、前を見据えるその姿には、頼もしさを感じます。
音楽座ミュージカルでは、舞台のオンライン配信のほかにも、オンラインの番組づくりなど、さまざまな表現方法を探っているとのこと。今後どんなメディアで岡崎さんの活躍を観られるか、楽しみです!

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