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16歳でアメリカの高校を卒業後、ギャップイヤーで日本の高校に。夢はアスリートを支えるスポーツドクター

スタンダードコース月曜日生の石澤真輝さんは、アメリカで生まれ、16歳で現地の高校を卒業しました。その後、大学に入学するまでの時間を有意義に過ごしたい、と日本に来て2018年9月にNHK学園に入学。東京2020オリンピックの聖火ランナーにも選ばれた3年次の石澤さんにお話を聞きました。

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大学に行く前に、これからの人生のために日本で高校生活を経験したい

――石澤さんはアメリカの高校卒業後、NHK学園に入学したのですね。

石澤さん:アメリカの高校を2年早く卒業しました。大学に行くことは決めていたのですが、その前に日本で生活して、日本の高校に通うことは自分の人生にとって役に立つのではないかと思って決めました。

――NHK学園に決めたのはどうしてですか。

石澤さん:アメリカで育ったので日本語に自信がなく、全日制の高校では授業についていけないのではないかと感じたので、通信制を選びました。母がNHK学園を見つけてきてくれました。

――とても日本語が上手で、自信がなかったなんて想像できません。

石澤さん:アメリカでは両親と兄と暮らしていましたが、両親は仕事で家にいない時間が多く、兄と過ごす時間が長かったんです。兄もアメリカで生まれ育っているので、二人の会話は必然的に英語になりました。両親が日本語で話しかけてきても、英語で答えていましたね。

「ドラえもん」や「サザエさん」などアニメが好きだったので、聞き取ることはある程度できたのですが、読めたのはカタカナぐらい。本格的に日本語を勉強したのはこちらに来てからです。漢字がわからないと街中の看板もわからない。今は、母と二人で暮らしていますが、環境が変わったら日本語で話すようになりました。

――同じ相手でも、環境が変わると言語が変わるというのは不思議な感じですね。

水泳、バスケ、陸上、バレーボール…とスポーツ三昧!

――昨年秋に行われた「定通総合体育大会」の水泳競技大会で3種目で1位、最優秀選手に選ばれましたよね。NHK学園のホームページに石澤さんの活躍を掲載したことを覚えています。

石澤さん:水泳は、8歳の時に始めて以来ずっと続けていて、日本でもスイミングクラブに入っています。水泳を始めて以来、一番長く休んだのは、昨年初めての緊急事態宣言のときですね。2か月間練習が中止になりました。他にもバスケットボール部や陸上部にも入っています。アメリカでは「時間があるとバスケ」という感じで、慣れ親しんでいましたし、陸上は水泳のための体力づくりにもなると思って。陸上部の顧問の先生たちは、アスリートとして体の使い方を本当によく知っているので、すごく勉強になります。陸上部で教えてもらったことで、泳いでいても、以前より身体のことがよく理解できるようになりました。

――1週間をどんなふうに過ごしているのか教えてください。

スイミングクラブは週6日通っていて、1日2時間から2時間半は泳ぎます。朝練と夕練がある日もありますし、練習のあとに友だちとウエイトトレーニングをすることもあります。月曜日は、スクーリング日は登校してスクーリングを受けます。最近は、バレーボール部にも参加していて(笑)、月曜日と金曜日はバレーボール部、水曜日はバスケ部、土曜日は陸上部の練習に参加しています。水曜日も陸上部の練習があるけれど、バスケ部と被ってしまうんです。

――本当にスポーツ三昧ですね!

アスリートとしてオリンピック選手たちを応援したい

―—石澤さんは、東京2020オリンピックの聖火ランナーに選ばれたのですよね。残念ながら公道での走行は中止になってしまいましたが、点火セレモニーに参加した写真を見せてもらいました!聖火ランナーに応募したのにも、スポーツへの強い思いがありますか。

石澤さん:スイミングクラブで一緒だった幼馴染がアメリカ代表として出場するのを応援したい、と思って応募しました。自分もアスリートなので、アスリートたちがどんなに努力をしているかがわかります。そういう意味で全てのアスリートを応援したい、という思いもあります。

――卒業後は、大学に入学の予定ですか。

石澤さん:はい。実はひと月前からオンラインで大学の授業が始まりました。一部リアルの授業も始まるため、ひと月後にはアメリカに行きます。大学でも水泳部に入ります。今回、聖火ランナーとして走れないのは残念ですが、点火セレモニーに参加できるは、日本での最後の思い出になります。

――NHK学園の卒業はできるのですか。

石澤さん:レポートはアメリカからでもネットで提出できますし、スクーリングの参加はすでに条件を満たしているので、来年1月に帰国して年度末試験を受けたら、卒業の予定です。

――NHK学園での高校生活はどうでしたか。

石澤さん:東京本校は部活動が盛んですし、グラウンドや体育館といった設備も充実していて、この学校に入らなければ、こんなに部活動はできなかったと思います。バスケ部の仲間を中心に、仲のいい友だちもたくさんできました。とても有意義な学校生活を送ることができました。

――将来はどんなことがしたいですか。

石澤さん:スポーツドクターをめざしています。大学では医学を専攻するためのコースを取ろうと4年ぐらい前から決めていましたが、具体的にスポーツドクターになりたいと思ったのは2年前、水泳中に肩のケガをしてからです。リハビリを診てもらっている先生がとてもいい先生で、自分もその先生のようにアスリートを支える医者になりたいと思っています。


スポーツ、アスリートへの熱い思いを語ってくれた石澤さん。お話を聞いて、改めてスポーツ観戦が楽しみになりました。高校卒業後、すぐに大学に進学するのではなく、人生全体のために自分のしたいことに時間を使ってみる。この考え方は、いろんな方にとってヒントになるのではないでしょうか。