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「コロナ時代を生き抜くチカラ~思春期の『自立』と『自律』を考える~」尾木ママ講演会@大阪夕陽丘学園協力校

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3年越しの講演会!

2022年12月、大阪夕陽丘学園高等学校(大阪市天王寺区)でNHK学園高等学校主催、大阪夕陽丘学園高等学校共催による尾木直樹さんの講演会を開催しました。<尾木ママ>のニックネームでおなじみの、尾木直樹さんはNHK学園のアドバイザーとしてNHK学園の教育にもご協力くださっています。

会場となった大阪夕陽丘学園高等学校はNHK学園高等学校の協力校です。スクーリングの会場として、現在、140人近くのNHK学園の生徒が大阪夕陽丘学園協力校でのスクーリングに通っています。そうしたご縁で、今回、コロナ前から数えて3年越しの、待ちに待った大阪での尾木直樹さんの講演会が実現しました。

当日はあいにくの雨が降る肌寒い日和でしたが、会場の大阪夕陽丘学園高等学校講堂にはおよそ150人の、おもに保護者の方々が参加してくださいました。また、オンライン配信も実施し、全国のNHK学園高校の生徒や保護者の方々も、オンタイムで視聴してくれました。

今の中学生・高校生たちは、いまだかつてない先の見通せない状況の中で、生きづらさを抱えています。新型コロナウイルス感染症の収束も見通せず、ロシアによるウクライナ侵攻も終わりが見えず、そのほかにも地球温暖化による異常気象や大きな自然災害など不安だらけの現在。

子どもたちは未来の希望

国立成育医療研究センターの調査では、高校生の30%に中等度以上のうつ症状がみられ、2020年の小中高生の自殺者数は過去最多の499人に上りました。

「今のこどもたちは大人の我々が経験したことのない大変な時代を生きている。そのことだけでも、僕たち大人はこどもたちを、リスペクト、尊敬すべきです。こどもたちは生きていてくれるだけで素晴らしい、ありがたいんです。こどもたちは未来の希望なんです」。尾木さんの危機感迫るお話に、会場の保護者の方々も食い入るように聞き入っていました。

4つの「自立」

続いては、思春期の「自立」と「自律」について。思春期の重要な発達課題は「自立」です。思春期は自分のからだの変化に気づき、これまでの親や教師に頼ってきた他律的な自己から脱却し、自己を相対化し、客観的にとらえ直そうと試みる時期です。しかしながら、自立できる条件は何も整備されていないので、とりあえず身近な大人たちの束縛から逃れようと反抗します。自立への葛藤から脱出するために、友達の世界へと依存を深めていきます。いじめや不登校が急増するのもこのような思春期の心の変化、すなわち「成長」と深いかかわりがあるのです。ところがコロナ禍で友達と会うこともままならず、孤立感を深めている子も多い。高校生の思春期は危機的状況にあるのです。

尾木さんによれば自立には4つあるといいます。1つ目は「経済的自立」、2つ目は「精神的自立」、3つ目が「社会的自立」、そして4つ目が「性的自立」です。日本は特に「性的自立」がものすごく弱いのです。

「性的自立」と「自律」

「性的自立」が弱い背景を尾木さんは、「日本の小中学校では、性教育が全く不在です。基本的に性教育は『人権教育』なんです。科学的な根拠に基づく包括的な性教育をしっかりしないと、インターネットが教科書代わりになり、歪んだ人権意識や人間観を子どもたちが学んでしまう危険性があるんです。性教育は決して性の仕組みや性行為について教えるだけではありません。自分の性や体について正しい知識を持ち、肯定的に捉えられるようになれば、自己肯定感も高まり、自分も相手も大切にできるようになるのです。それらは親が性的な自立を促していく中で初めてできることなんです」と語りました。

「自律」というのは独り立ちすること、辞書的に言えば「他からの支配・制約などを受けずに自分自身で立てた規範に従って行動すること」ですが、これは今、大人でもなかなか難しくなっています。日本ではあまりにも親子の仲が良く、「親子共依存」的になっています。先ほどの性的自立にも関連しますが、10代後半になっても異性の親とお風呂に一緒に入っているケースも結構あるようです。これは大問題です。性的自立が未熟だと、精神的な「自律」は出来ません。

「自立」を促す学び

それでは、自立を促し、共依存的な親子関係にしないために必要な教育とはどんなものなのでしょうか。尾木さんが一例として挙げたのが、農業高校の学びでした。日々いのちと向き合う農業高校の学びは、必然的に探求型になります。飼料代の高騰で苦しむ農家を助けたいと、大学の農学部と連携してトウモロコシの活用法について研究開発をするなど、問題解決のために創造的で多様なアイデアが必要とされるからです。こうした探求型の学びには、AI時代を生き抜くためのヒントがたくさんつまっています。

大阪夕陽丘学園高等学校の修学旅行も探求型の面白い例だといいます。ひとつの極めたいテーマを持ってそれがどうなっているのかを探り、帰ってからその調べたことをグループごとにプレゼンするのだそうです。AI時代を見据えて、世界の大学入試や教育方法も大きく変わってきています。これからはIQ(知能指数)ではなく、HQ(人間性指数)が重要視されます。好きをとことん極めていく探求型の学びを通じて人間性や芸術的感性を高めることで、自律的に進路を切り拓いていけるようになるのです。

パートナーシップで促す「自律」

講演の最後に、尾木さんはあらためて親子の関係性について会場の保護者に語りかけました。「基本的に大人として、お互いにリスペクトしながら、あなたはどう思うの? って高校生の考えを聞いてください。そしてそれに対して答えが返ってきたら、しっかりと相槌を打って共感してあげてください。パートナーシップで親子関係を築いてください」。

コロナ禍で、かつてない厳しい状況に置かれている高校生たち。尾木さんの講演には、この危機的で閉塞的な状況を打破するためのヒントがたくさんあったのではないでしょうか。

尾木直樹さんの情熱あふれる、大阪夕陽丘学園協力校での講演会。当日の寒さも吹き飛ぶ、あっという間の70分1本勝負でした。

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