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「なぜ高校に行かなければならないのか?」という疑問を持っていた女の子が、通信制高校を選んだ結果

NHK学園高等学校ネット学習コース(2021年度からはスタンダードコースに名称変更)2年次生の田中ぺるぅしゃさんは、<自分が自分らしくいられる方法>としてNHK学園への入学を選びました。
そんな田中さんにNHK学園高等学校広報の野村がお話をうかがいました。

容姿がいじめの的になった小・中学生時代

野村:小学校、中学校では学校生活がうまくいかなかったとうかがいました。
田中さん:私は、父方の祖父がイラン人です。白い肌や色の薄い髪や瞳の色など、見かけのことで小学生の頃からいじめやからかいの的になることがありました。髪を染めているとか、カラーコンタクトだとか、根も葉もないことを言われるのです。今となっては、自分の魅力だと捉えられる他人との「違い」が、当時はコンプレックスに感じられてならなかったのです。
引っ越しが多かったこともあり、学校に馴染めず、休みがちになっていきました。小学校6年生の時には、学校を休んでいる間にクラスの中で事実とは違う噂が広がって、クラス対自分のような状況になってしまいました。
中学入学後も、女の子のグループ意識が苦手だったこともあって、クラスの中で浮いた状態になっていました。学ぶことや運動することは好きなので、授業中はつらくはないのですが、休み時間がつらいのです。昼休みにみんなが教室の外に出てしまう中、一人クラスに残って読みたくもない本を読むような感じでした。15分の休み時間がとても長く感じられました。中学も3回の転校があり、中3の修学旅行間近に転校したときは、既に出来上がっている仲間の中に入っていく難しさもあり、とても苦しかったです。

高校へ行くことへの疑問から通信制高校選択へ

野村:中学校から高校へ進学するときは、どんなことを考えましたか。
田中さん:中学3年生になって、周囲がみんな当然のように全日制の高校への進学を考えている中で、私は「どうして高校へいくのだろう」と疑問を感じていました。
大学や専門学校なら、学びたい内容があって、その分野について学びに行くので、価値が理解できるのですが、高校は義務教育でもないのに、何のために行くのかがピンと来なかったのです。高校へ通うよりも、好きなダンスや演技について学びながら働きたい、早く社会に出たい、と思っていました。

野村:そこから高校への進学を考えるようになったきっかけは何だったのでしょうか。
田中さん:小学校・中学校と順調に学校へ通えなかったことで、数学などは、わからないところが増えてしまいました。でも、通えなかったことをできない言い訳にすることは嫌。それでは自分が自分自身に負けたことになる、と思ったのです。そこで、もう一度考えました。全日制に通うという選択肢は自分にはありませんでしたので、アルバイトをしながら、時間的な自由度が高い通信制高校に通って、好きなことも学ぼう、高校では目的意識をもって苦手な科目も一から学び直そう、そして高校の卒業資格も手にしよう、と思い直したのです。

野村:通信制高校はどなたかのすすめがあって知ったのですか。
田中さん:私は6人兄弟の4番目なのですが、3番目の姉が、県立の通信制高校に在籍していたことがあったのです。母も私の想いを汲んで、幅広く調べてくれました。

野村:「高校卒業資格の取得」という希望もお姉さまからのアドバイスを受けてのことでしたか。
田中さん:そうですね。姉は通信制高校での単位修得に高卒認定試験を併用したのですが、高卒認定試験に合格しても学歴では中卒になる、ということを教えてくれました。将来、進学するにしても就職するにしても、高卒資格を残したいと強く思ったのはそのためです。

NHK学園は「自分らしくいられる場所」

野村:通信制高校の中でもNHK学園に入学を決めた理由は何でしょうか。
田中さん:ホームページを見て、ネット学習で一人で学ぶ生徒に対してていねいにバックアップしてくれる雰囲気が伝わってきて、自分に合っていると思ったのです。まなびや仙台(NHK学園の生徒のための学習施設)に入学相談に行って話をしてみて、ますますその印象が強くなりました。

野村:実際にNHK学園で学び始めてみて、いかがでしたか。
田中さん:入学してからこれまで、最初の印象より良く感じるところしかありません!
授業も一方的なものではなく、わからないことをそのままにしない展開ですし、登校すると先生とも他の生徒ともたくさんのコミュニケーションをとって、人として大事な時間を過ごさせてもらっていると感じています。
自分らしくいられる場所、周囲を気にせずに自分の好きなことができる場所、不安を持たずに安心していられる場所です。テストの前などはもちろん不安になりますが、その不安ですら、今の自分に必要だと感じます。「このスタイルは自分に合っている」と感じます。

大人になるための自分を組み立てる3年間

野村:「早く社会に出たい」という気持ちから変化したということですか。
田中さん:今は、3年間の高校生活という旅に出ている感覚です。その中でアルバイトをしたり、先輩とご飯を食べに行ったり、メイクをしてみたり、ダンスを踊ったり…。その一部に、次の旅に行くための勉強がある感じです。勉強中心の生活は絶対に嫌だけど、学生である以上、最低限の学びも大切だと今は感じています。
ほどよく自分で調節しながら、チョイスしていく。そして大人になるための自分を組み立てていく。これは、私にとってとても楽しいことです。

ダンスでリセットー現実と冷静に向き合える

野村:ダンスについて聞かせてください。
田中さん:妹がダンスを習っているスクールでよく見学していて、「面白そう」と思ったのがきっかけです。中1の時に習い始めてみたら、曲や踊りに合わせて、こんな服装にしようとか、この帽子を被ってみようとか、こんなメイクをしてみよう、と工夫するのも含めて楽しくて…。ダンスをしている時は、現実を忘れているわけではないけれど現実を客観視することができます。リセットして、冷静になって自分を取り巻く状況に向き合うことができるのです。
今は、週に2、3回スクールに通っています。発表会の前になると、プラスアルファの練習があります。自分で練習するときは、近くの公園で練習しています。

野村:勉強とダンス以外の時間はどのように過ごしているのですか。
田中さん:高校1年生の時は、歯医者さんの受付をしていたのですが、今は飲食店で、多い週は1週間で5日ほどアルバイトをしています。1回に5~8時間ぐらい入っています。

野村:たくさんアルバイトしていますね!
田中さん:ダンススクールの月謝と携帯電話代は自分でアルバイトをして出すことにしています。それ以外のアルバイト代もできる限り母に渡すようにしています。

演技やダンスを通してつらい人を励ましたい

野村:高校生活とアルバイトとしっかり両立しているのですね。高校の卒業後は、どんな進路を考えていますか。
田中さん:まだ、就職か進学か決めていませんが、アルバイトを通して、働いて自立することも考えるようになりました。進学するのなら、トレーニングや栄養の分野を学べるような学部に進みたいですね。
将来は、自分自身がつらい時に音楽や映画に力をもらったので、演技とかダンスとか、何か自分の身体を使った表現活動を通じて、つらい人を励ましたいと思います。

通信制高校進学を考える人へ…

野村:通信制高校への進学を考えている方に向けて、伝えたいことはありますか。
田中さん:まだまだ全日制に行くのが当たり前という中で、通信制という選択をすることは勇気がいる場合もあると思います。だけど、通信制高校を進学先候補に入れる理由はそれぞれにあるはず。その理由や自分の想いを素直に感じ取って、進路を決めてほしいと思います。
生きていく上では、進学や就職といった選択を迫られることがあるけれど、<大人になる>という大きな山があるとするならば、登り方や登る角度は人それぞれ自由だと思います。どの道を選んでも、乗り越えないといけない壁はいくつも立ちはだかるでしょう。でも、その都度悩んで、自分がこの道を選んだ理由を考え直せば、「一歩を踏み出して、頑張ろう」という気持ちになるのではないでしょうか。

野村:とても力強いことばですね。自分で選択して、今NHK学園で学んでいることから得た自信がみなぎっています!
田中さん:周りからの冷たい偏見に傷ついたことは何度もあります。でも、今の私は、つらい経験をした自分に生かされているとも思います。だからこそ、自分が選んだ道を精一杯生きて、何かメッセージを伝えられるような生き方をしたいと思うようになりました。
だから、もし進路や将来に向けての選択に悩んでいる人がいたら、自分が自分らしくいられる選択肢をぜひ選んで欲しいと思います。


お話をうかがっていると、田中さんならではの素敵な表現がたくさん!ご自分の感じたことを、自分のことばで表現するのがとても上手な方だと感じました。映画を観るのが大好きだという田中さん。何度も、セリフを味わいながら観るのだとか。ことば、ダンス、衣装やメイク…これからの表現者としての飛躍が楽しみです。

田中ぺるぅしゃさんのダンス映像はこちら!


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