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「高校へ行きたい」という積年の思いをかなえた89歳。 初めて学ぶ英語も、スクーリングで精力的に質問して単位修得!高校卒業!

この3月にNHK学園を卒業した古味土佐男さんは89歳。スクーリングに積極的に参加し、レポートも提出期限を厳守してしっかり取り組む様子は、他の生徒のお手本でした。
卒業式では、懸命に取り組んだ生徒に授与される「エンカレッジ賞」を見事受賞。3年間の高校生活を終えた古味さんにNHK学園高等学校広報の野村がお話をうかがいました。

古味さんお顔写真

ようやく見つけたNHK学園

野村:ご卒業とエンカレッジ賞のご受賞、おめでとうございます!卒業式はいかがでしたか。
古味さん:大変良かったです。感激しました。エンカレッジ賞の受賞は、その場で初めて知ったので、恥ずかしくて、恥ずかしくて。
野村:生徒たちの模範で、教員全員一致でエンカレッジ賞に決定したとうかがっています。
そもそもどういったきっかけでNHK学園に入学されたのですか。
古味さん:私は1歳の時に父を亡くしました。いろいろ考えあぐねた時期もありました。また父を恨んだ時期もありました。そして、一度は高校へ入学したものの、6か月で退学。そんな悔しさも心の中にあり、高校へ行きたいとは、前々から思っていましたが、仕事の都合でなかなか実現できずにいたのです。
「今からでも」と入学を本格的に考えて、県立の夜間定時制の高校へ問い合わせをしたのですが、年齢的に入学が難しいとの回答でした。高知県内の全日制の高校も調べて問い合わせしたのですが、同じ理由で入学がかないませんでした。
NHK学園なら入学できると聞いて、調べて、やっとたどり着いたのです。

学習の進め方

野村:どのように学習に取り組まれたか教えてください。NHK高校講座は、インターネットで視聴されましたか。それともテレビやラジオで視聴されましたか。
古味さん:パソコンを使ってインターネットで視聴したり、テレビで放送時間に視たり、録画で視たりしていました。
高校講座を視聴した後は、教科書を見て勉強。それでも、レポートに取り組むときは難儀しました。教科書を見直したり、インターネットで検索したりして、ようやく提出です。
何しろ年齢が年齢なので、忘れることが多くて、苦労しました。
野村:月1,2回のスクーリングにもほとんどお休みなく出席されたとうかがいました。お住まいの須崎からスクーリング会場である松山東高等学校までは時間がかかるのではないですか。
古味さん:車で2時間弱ですね。2年次までは自分で車を運転して通いました。3年次は息子が送ってくれました。

スクーリングのたびに精力的に質問

野村:スクーリングなど学園生活で最も印象に残っていることはありますか。
古味さん:先生方には、本当に親切に教えていただき、感謝です。特に中野先生には、担当教科の理科に限らず教えてもらいました。スクーリングの空いている時間や終了後に、毎回のように質問をして、わからないところを確認していきました。
野村:好きな科目、嫌いな科目はありますか。
古味さん:好きなのは歴史。苦手な科目は英語です。戦時中の生まれですから、英語はNHK学園に入学して初めて勉強しました。本当に苦労しました。
野村:古味さんの学習姿勢に影響を受けた10代の生徒たちもたくさんいることと思います。私も在校生や卒業生の取材をする中で、年齢の離れた同級生から、学びへの意欲や、取り組み姿勢、スクーリングでの発言などに感銘を受けたというお話はよくうかがいます。
通信制高校の中でも、社会人の割合が多いことはNHK学園の特徴だと思いますが、異年齢の生徒とともに学ぶという経験は、とてもいい刺激になると感じます。
古味さん:体育の時間には手助けをしてもらうなど、私も大いに助けられましたよ。

卒業後は好きな歴史を学習

野村:NHK学園に入学されるまでは、お仕事を続けていらしたのですか。
古味さん:はい。電器店を60年余り営んできました。家電製品の販売とアフターサービスとして修理を請け負っています。NHKといえば、若い頃に仕事で関わりがあったことを思い出します。
終戦後4~5年ぐらい経ったころでしょうか。年に何回か、ラジオの修理の相談や講習のために、NHKの方が高知県内を巡回していました。私も修理技術を知るために、参加していたのです。
野村:放送をあまねく日本全国で受信できるようにすることが公共放送・NHKの使命の一つですので、その大切な業務を支えていただいていたのですね。古味さんは当時からずっとお仕事を続けていらして、ようやく念願の高校の勉強に取り組まれたわけですが、高校を卒業されて、今は何か新たに取り組まれていることがあるのですか。
古味さん:日本史と朝鮮近代史の2科目を放送大学で履修しています。全ての基礎は知識にあると思います。これからもいろいろと勉強していきたいと思っています。
野村:やはり、歴史がお好きでいらっしゃるのですね。これからも、ご自分のペースで学びたいことに取り組んでいらしてください。


同じ敷地内に息子さんがお住まいとはいえ、お一人で暮らしていらっしゃる古味さん。今でも、朝は自宅から4㎞離れたお店へ車でいらっしゃるのが日課だそうです。
いくつになっても新しい知識を得ようと努力する姿に、大いに刺激を受けました。
これからもどうぞお元気で知的な毎日をお過ごしください!