不登校の状態からNHK学園に入学し、簿記や英検の学びを通じて勉強の楽しさを実感、指定校推薦で大学進学
石﨑楓芽さんはNHK学園高等学校が「学びの多様化学校(不登校特例校)」として設置しているライフデザインコースの卒業生。2024年3月にNHK学園を卒業後、指定校推薦で獨協大学経済学部経営学科に進学しました。充実した大学生活を送っている石﨑さんにお話を聞きました。
※学びの多様化学校(不登校特例校)とは、文部科学大臣の指定により、不登校児童生徒を対象とする特別の教育課程を編成して教育を実施する学校。中学校の設置が多く、NHK学園は高等学校の数少ない設置者の一つ。
<参考>
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1387004.htm(文部科学省ホームページ「学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)の設置者一覧」)
【目次】
▼大学入学後も役に立っている簿記の知識
▼大学入試制度について卒業生からレクチャー
▼学部の決定と指定校推薦利用
▼進路指導とカウンセリングをフル活用
▼あせらずに、まずは自分に合った高校選びから
大学入学後も役に立っている簿記の知識
――NHK学園に入学を決めた理由は何ですか。
石﨑さん:中学1年の後半から不登校になり、進学先は通信制高校の中で探しました。NHK学園は他の通信制高校と比べて多様な人がいるところがいいと感じて入学を決めました。
――在学中印象に残っていることはありますか。
石﨑さん:一番印象に残っているのは簿記の勉強会です。週1回2時間の勉強会が10数回あって、毎回先生が1から10まで教えてくれました。おかげで日商簿記検定2級を取得できました。大学に入学してみると、僕は経営学科なので簿記が必修なのですが、2級を持っていることで、「簿記原理」の履修が免除されました。友だちに教えてあげたこともありました。学部の授業の中でも似た問題が出てきて、簿記の学習は卒業後も役になっているな、と思います。
カリキュラムでは、「生活実習」が印象に残っています。3年間で料理、散歩、簿記に取り組みました。
※「生活実習」…ライフデザインコースの特徴的なカリキュラムの一つ。生徒は日常生活におけるテーマを一つ選んで取り組み、その体験報告を通じて自己を認める経験、そしてご家族からの評価などを通じて周囲に認めてもらう体験を積む。
大学入試制度について卒業生からレクチャー
――卒業後の進路については、どのようにして決めたのですか。
石﨑さん:実は高校2年の冬までは大学に行きたいとは強く思っていませんでした。でも、別の高校の友だちと会ったときに、大学受験の話を聞いて、そのときは、「そうなんだ」とただ聞いているだけだったんですけど、あとから調べてみたら、大学に進学したほうが就職にも有利だということも知って、大学進学したいと考えるようになりました。
――大学進学を決めてからは、どんな準備をしたのでしょうか。
石﨑さん:高校2年の終わりか3年の初めの頃に、まず「あすなろカフェ」に行って、卒業生に大学の入試制度について教えてもらいました。大学にはさまざまな入試制度がありますが、それぞれどんな制度なのか全く知らなかったので、まずはそこからでした。
※「あすなろカフェ」…進路決定前の段階でも気軽に相談できるようにとNHK学園が設置している相談の場。若者の自立を支援する認定NPO法人の協力を得て運営いている。NHK学園の卒業生も参加し、自分の経験などから相談に乗ったり、アドバイスしたりしてくれる。
学部の決定と指定校推薦利用
――今の大学・学部の指定校推薦ということはどのようにして決めたのでしょう。
石﨑さん:担任の先生に進路の相談をしたときに、「成績が1年次から悪くないから指定校推薦が向いているんじゃないか」と言われたことが指定校推薦を意識したきっかけです。
学部については、定まった目標を持って経済学部を選んだというわけではありません。
大学進学を考え始めてから英検の勉強を始めました。NHK学園のレポート以外の勉強に取り組むのは初めてだったのですが、やってみたら楽しくて、最初は英語が勉強できる学部はどうかな、と考えました。でも、英語だけにしぼるのも広がりがないな、と感じていた中で、外国語教育に力を入れている獨協大学の経営学部ならば、広く将来の道が広がって、自分の興味にぴったりだと感じたのです。
――簿記を勉強したことも学部選択に影響しているのでしょうか。
石﨑さん:確かに、そうですね。大学受験の準備をしているとき、同時に簿記の勉強もしていて楽しかったので、そのことも学部選択を後押ししていると思います。
進路指導とカウンセリングをフル活用
――ほかにもNHK学園の進路指導で活用したことはありますか。
石﨑さん:面接練習や小論文・志望書などは、ライフデザインコースの担任の先生に見ていただきました。あと、進路指導ではないですけれども、進路のことで悩んでいるときには、教育相談室でスクールカウンセラーさんに相談させてもらっていました。NHK学園はスクールカウンセラーさんがいつもいるので、予約は必要ですけれども思い立ったらすぐに相談できるのがいいところです。
あせらずに、まずは自分に合った高校選びから
――進学先の高校を検討中の中学生にメッセージをお願いします。
石﨑さん:僕は中学生のときに学校に行けず、自分はだめだという思いが強くありました。でも、NHK学園に入学して高校生活を送る中で、徐々に気持ちが変わっていきました。今、学校に行けていなくても、通信制高校なら通うタイプの高校と比べて自分のペースで学習できて、人との関わりが苦手な人や人との関わりがこわいと感じる人、一人で勉強したい人におすすめです。高校に入ってからでも、まだ全然遅くはありません。あせらずに自分に合った学校を選んでください。
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