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労働の対価はウェルビーイングでした

チーム「うぇる・び」のnote担当、河合良樹です。
NHK学園では、生徒一人ひとりの「その人らしさ」を育むことを大切にする教育をしています。
これは、NHK学園の自慢の一つではあるのですが、なかなか具体的なイメージを共有していただきづらいところです。今回は、8月と9月に実施した「学内就労体験」についてお話します。

「学内」だからこその安心感

「職場体験をすることでウェルビーイングを高められるのではないか」というメンバーの提案から、アルバイトをしたいけれどもハードルが高くてできないという生徒を対象とした「学内就労体験」の取り組みが始まりました。
NHK学園は高等学校だけでなく、生涯学習のオープンスクール(社会人の方が趣味や勉強のために通う講座を運営する、いわゆるカルチャースクールのようなもの)や社会福祉士養成課程などさまざまなコースがあります。
以前私が入学前の個別相談会で担当した中学3年生の保護者の方は「施設は普通の学校なのに、先生以外の大人が校内にいるのは、なかなか登校できない子どもにとっては学校の雰囲気が薄れて安心できそうですね」と話してくれました。もしかしたら、この点がNHK学園の独自性であり、強みなのかもしれません。
今回の「学内就労体験」は、NHK学園の生涯学習オープンスクールの協力を得て実施しました。
いきなりアルバイトや学校の外での職場体験はハードルが高いと感じる生徒にとって、担任の先生がいて、スクーリングで登校している馴染みのある学校という環境は、やってみようという勇気に繋がります。高校だけでなく、さまざまな年齢・目的を持つ人を対象とした教育事業を行うNHK学園。その独自性が「学内就労体験」を実現してくれました。

“誰かのために”が私の自信に!

「学内就労体験」写真②

生徒たちがオープンスクールで任された業務は、封入や封筒の糊付けといった簡単な事務作業とオープンスクールの講座の教室設営でした。15時から17時までの2時間の「学内就労体験」を終えた生徒の一人は、

「誰かの役に立てて嬉しかったです。自分にできることが増えたので自信になりました。」

と振り返りをしていました。
この生徒の感想は、ウェルビーイングそのものだと思います。「学内就労体験」に挑戦しようと思い、一歩踏みだすことができました。そして就労体験を通して誰かの役に立てることの喜びを感じ、社会とつながることができた自分に自信を持つことができました。自己肯定感を高めることができたのです。
この生徒の就労体験を指導したオープンスクールの担当者は、「お願いしたことを丁寧に作業してもらい助かりました。陶芸講座の準備では、周囲の動きを見ながら行動していたところを私たちも見習いたいです。」と生徒に伝えていました。
生徒自身が達成感を得られただけでなく、指導をしてくれた大人に自分の仕事を褒めてもらえたことがさらなる自信につながったと思います。この生徒は、「体力が必要なこともやれるようにしたい!」と次の目標を設定していました。「学内就労体験」を通して手に入れた自信がさらなる一歩につながったのだと思います。

私の「世界」が広がりました!!

今回の「学内就労体験」には、私が担任しているクラスの女子生徒も一人参加しました。彼女は、今年度からアルバイトを始めたいと思っていたのですが、新型コロナウイルスの感染者が増大していくことに不安が募り、アルバイトすることを断念していました。その後は、自分に自信を持てなくなることが多く、自分にはアルバイトは無理なんじゃないかと思っていたそうです。
彼女は「学内就労体験」の感想を

「今回の体験で得られたことは作業の面だけではなく、進路のことや好きなことをどのように活かしていけばよいのかを知ることができました。人生の先輩方に沢山のお話を聞くことができとても嬉しかったです。とても大切な経験になりました。」

と教えてくれました。

「学内就労体験」写真①


一つのことを自分なりに派生させてさまざまな場面に活用していこうとする姿勢が彼女の素敵なところです。彼女の中では、「学内就労体験」の作業で上手くできなかったと感じたこともあったみたいですが、「私は人とお話しするのが好きみたいです」と自分のことを再認識することができていました。
最近、彼女から「もっとたくさんの人と交流して視野を広げたいし、コミュニケーション能力をもっと高めたいって思ったので、今度アルバイトの面接に行ってきます!」と近況報告をもらいました。担任の知らないところで彼女は確実に成長していました。彼女のこれからがとっても楽しみです。


今回は、「学内就労体験」という我々が“用意した場”を通した生徒たちのウェルビーイングな経験についておはなししましたが、ウェルビーイングは必ずしもキャスティングされた場面でなければ経験できないわけではありません。次回は、普段の学校生活の中で生徒が経験したウェルビーイングについてお伝えしたいと思います。

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